ウソ?本当?霊感のある同僚・・・
責任者をしていた営業所が閉鎖になり、退職金でパチンコ三昧だったモラ夫。
その退職金も使い果たし、生活に困って週払いの警備の仕事に就いた。
警備の仕事・・・聞こえはいいが、交通誘導員。
俗にいう旗振り。
雪が多く降る地方なので、一斉排雪なるものがある。
道路脇に溜まった雪を大型ダンプカーに雪を積んで、排雪場所に運ぶもの。
モラ夫も交通誘導に駆り出された。
その時に一緒に誘導していたHさん。
Hさんについてモラ夫が語ったお話。
Hさんは霊感があって、見えるそうだ。
久し振りにお兄さんと食事をしたHさん。
Hさんのお兄さんは刑事さんで、殺人事件を追っていた。
お兄さんを見るなり、Hさんは行ったこともないその殺人事件の現場の
様子と、そこから逃げていく男のみなり・恰好・風貌が見えて
お兄さんに、こういう男だと伝えた。
後日、Hさんの見えた男が逮捕された。
二人一組での排雪の誘導。
道路左レーンを規制して行う。
雪の降る中、誤って車が左レーンに進入して来ないように誘導する。
すると、いきなりHさんがモラ夫にもっと下がれと言う。
少し下がるが、危ないからもっともっと下がれと言った。
そんなに下がったら、見えなくて誘導できないだろう・・・
と思いながら後ろに下がった。
と、
同時にビューンっと車が突進してきた。
危ない危ない。
あと、1m下がるのが遅かったら・・・
と、
モラ夫は仕事(誘導)から帰って来て、お風呂に入って
ビールを飲みながら話す。
「へぇ~~、Hさんって見えるんだ・・・」
「あまりにも見えるからイヤなんだってさ。」
「ふ~~ん。でも、殺人事件のは凄いよね。」
「うん、どんな服着てて、何歳くらいとか特徴が見えたんだって。
なんか、見ると疲れるって言ってたな。だからあまり見ようとしないんだって。」
「へぇ~。」
「俺だってさ、今日Hさんが下がれって言ってくれなきゃ死んでたな。」
「う~ん・・・そんな直前?いや直後か?のことまで見えるんだ。」
「ん?・・・あ、ああ。見えたんじゃない?」
ん?あれ。目、泳いだ?
「それでさ、命の恩人だからHさんと食事にでも行こうと思うんだけど。」
「あああ、Hさんってあんまり人と付き合うのが好きじゃない人。」
「いや、好きじゃないんじゃなくて苦手な人だよ。」
「ああ、そう。」
「だから、Hさん命の恩人でしょ?居なかったら俺死んでたんだよ。」
「うん・・・」
「だから・・・」
と言って手を出すモラ夫。
「ん?」
「ん?じゃなくて、ご飯食べに行くお金。」
「Hさん行くって?」
「いや、まだわからん。これから誘う。」
「ふ~~ん・・・」
怪しい(ー_ー)!!
さっきの殺人事件の話の時のモラ夫は目を輝かせていたけど
車が突っ込んで来た話になると、なんだか目が泳いでないかい?
しかも、
Hさん、仕事以外は家に篭ってるって言ってなかったっけ?
人とは関わりたくないからって。
まあ、見えちゃうからイヤなんだろうけど。
人ごみも行きたくないって。
以前、モラ夫が言ってたと思うけど。。。
「じゃあ、もし、Hさんが断ったら返してね。」
「うん、わかった!」
ニコニコ顔のモラ夫。
結局、お金は返って来なかった。
Hさんと食事に行ったのかも定かではない。
一緒に行ったわけではないので、ウソだったのか本当なのか
それすらも分からない。
たぶん、モラ夫のことだからお金が欲しくてウソをついたのだろう。
目が泳いでいたし、Hさんが仕事以外で出かけるとは思えないから。
全く、卑怯な手口を使いやがる!!
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